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防災食&日常食で取り入れたい乾物
前ページでは海の恵みである魚介類と海藻類の6選を紹介しました。
大地の恵みである野菜や果物は、避難生活で不足しがちな食物繊維が摂れ、栄養不足の問題を解消してくれます。
そして、肉や魚が手に入りにくい環境になるので、豆のたんぱく源は大きな役割をし、ナッツ類で良質な脂質も摂ることができます。
1日の配給がおにぎりとパンが1個づつという炭水化物に対して、バランスよく栄養を摂ることで、体調不良を避けられる生活ができます。
野菜やきのこは簡単に自宅で乾燥できます。
安価な時に、作ってみてもいいですね。
備えておきたい野菜類の乾物
避難生活では1日、おにぎり1個とパン1個。
配給された食事。
ありがたく感謝いただく食事です。
しかし、野菜が不足しているため、体調不良になりやすく、缶詰を用意している方は、それに添えたりプラスされる野菜類を必ず用意しましょう。
乾燥野菜は適当の大きさにカットして、天日に干すだけで簡単にできます。
干す野菜は、ビタミン類が酸化しやすく、光に弱い栄養素なので、ビタミンA・C.B2など、野菜のメリットである栄養が減ってしまいます。
しかし、それ以上に増える栄養(ビタミンD・ナイアシン・カルシウム・鉄分・食物繊維など)もあります。
それは別ページにそれぞれの乾燥の仕方をアップしていきます。
大根(切り干し大根)は被災中に頼れる乾物
大根を乾燥させて作られた切り干し大根。干すことで大根の甘みとうま味が増し、独特の香りと歯ごたえが生まれます。
干されていることで、切り干し大根の食物繊維は生大根の約16倍・カルシウムは約23倍にも増えます。
自宅避難であっても栄養不足によって体調不良にならないためにも、むくみや高血圧の予防効果がある野菜のひとつです。
そして、食物繊維の中にリグニンと呼ばれる不溶性食物繊維があり、腸内の善玉菌を増やす整腸作用があります。
腸の蠕動運動を活発にしてくれる作用もあるので、便秘の解消に期待できます。
切り干し大根には造血や貧血に関わる、銅・亜鉛・ビタミンB郡などの栄養があります。
しかし、切り干し大根は、不溶性食物繊維が多いので食べ過ぎるとお腹がはります。
1食10~15g程度に(乾燥状態)に抑えるようにしましょう。
和食で使用されることが多い切り干し大根ですが、ドレッシングで和えたり、にんにくや生姜で炒めることで、和洋中、様々な料理に利用することができます。
乾燥にんじんは香りと甘みがギュッと凝縮した深い味わい
乾燥にんじんは栄養面だけではなく、水で戻すだけで献立に彩りがプラスされます。
食事の彩りは食欲を増す大切な役目があり、特に災害時にストレスが溜まっている時、食事はホッとできるひと時になるので重要なのです。
βカロテンを含むにんじんの栄養素は、乾燥にんじんからも摂れ、栄養が豊富で甘みと旨味が凝縮されています。
更に栄養アップされるように干す方法は、一度蒸してから乾燥させる方法です。
人参本来のうま味と栄養素がそのままで、乾燥で失われるビタミンなども蒸すことで残るため、乾物の弱点を克服した今までにない乾物です。
もちろん干したことで、ミネラル類がアップされます。
購入したり、自家製で乾燥人参を作る場合は、蒸してから乾燥されたモノをおすすめします。
乾燥ごぼうで食物繊維やポリフェノールをとる
ごぼうと言ったら、食物繊維が多い野菜と言うくらい、便秘にはごぼう!と言われています。
食物繊維のセルロースやリグニンの含有量はトップクラスです。
ごぼうは、ミネラルも比較的豊富で、体に有益な腸内の善玉菌を増やし、体内の余分なナトリウム(塩分)やコレステロール、老廃物を排出してくれる優れモノです。
乾燥物になっているごぼうは、旬のポリフェノールやミネラル類が豊富で、老化や生活習慣病を、防する栄養成分がたっぷりの旬のごぼうを加工しているので、是非防災用に用意しましょう。
キャベツは胃腸を整えるくれる
キャベツから発見されたアミノ酸“ビタミンU”はキャベジンと言います。
そのままの商品名で、胃炎などの障害の医薬品があります。
疲れた体と心の体調不良で、胃が痛いという方が多いですが、キャベツに含まれているビタミンUで胃酸の分泌抑制・胃粘膜の新陳代謝の促進など、体を助けてくれます。
乾燥にして戻したり茹でると、ビタミンCもビタミンUもカリウムも流れ出すので、使った水は料理に使用するようにしましょう。
葉菜(ほうれん草・小松菜など)の葉酸の不足に注意
葉菜とは、野菜の中でも葉を食用にする菜っ葉のことです。
ほうれん草は、野菜の中で最も鉄分が多い菜っ葉ですは、乾燥したり調理することでビタミンCは半減してしまいますが、販売されている生のほうれん草は、旬のモノが多いので、栄養価が2倍になっています。
乾燥して栄養が半減しても、季節外れの野菜と変わりません。
葉に含まれている葉酸は、ビタミンB群といっしょに造血作用として働きます。
そして、そのほうれん草の5倍もカルシウムがあるのが小松菜です。
骨の強化のためにも、防災食に取り入れたい食材です。
他の菜っ葉も販売されているものは旬のモノが多いので、乾燥したり料理をして栄養が減っても、一年中流通している菜っ葉と変わりありません。
キノコ類の乾燥物は驚くほど栄養価UP
キノコ類は食物繊維が豊富で栄養価も高いのですが、乾燥にすることで、驚くほどに栄養がアップします。
天日干し・レンジやフライパンと人工的に自宅で簡単に乾燥できるのも、きのこの特徴です。
是非試してみてください。
乾燥の干し方は別記事で紹介しています。
しいたけは乾燥させることで旨味とともに栄養UP
しいたけは生で食べるよりも、乾燥させることで旨味とともに栄養もアップします。
生しいたけより乾燥しいたけのタンパク質…6倍・カリウム…7倍・カルシウム…3倍・ビタミンB1…5倍・
ビタミンB2…7倍・食物繊維…11倍・ビタミンD…9倍にアップします。
脳神経の発達を促す作用があるビタミンDが多く摂取できるのが、乾燥きのこ類の特徴です。
舞茸やしめじで免疫力をUP
炊き込みごはんなどで、風味をアップさせる舞茸やしめじも、しいたけ同様、乾燥させることで旨味とともに栄養もアップします。
そして、舞茸などもインフルエンザ予防になったり、免疫力がアップするので、乾燥して備えておきたい食材です。
冷蔵庫では日持ちしない食品ですが、乾燥をすることで防災食になり、もしもの時にとても役立ちます。
果実類の凝縮された甘さでホッとすることも…
生の果物の約80%は水分でできているドライフルーツは、水分20パーセント以下まで抑え、干すことで平均3カ月~半年ぐらい保存できます。
ドライフルーツにした場合のビタミンやミネラル量は、生とあまり変わりはないという結果があります。
ビタミン類でも、ビタミンCは乾燥すると減りやすいのですが、ビタミンAは減りにくいなど、乾燥した野菜や果実は、増える栄養が多いイメージですが、減ってしまう栄養もあります。
しかし、旬で一番栄養がある時に加工されたものは、栄養が多いので、産地や旬などを調べてその時期に加工したものを購入するようにすると、少々減ってしまう栄養があっても、旬以外の生の果物よりいい場合もあります。
ドライフルーツにすることで増えるのは、食物繊維で、カリウムやリン・鉄などのミネラル分は、凝縮されて効率よく摂取できるようになります。
ドライフルーツは乾燥の過程で水分が除かれているので、生の果実に比べて糖度がきわめて高くなります。
ドライフルーツの糖分について賛否両論ありますが、水分含有量を考慮すると、ドライフルーツの天然果糖とカロリーは、同じ種の生鮮果実と同等になるんです。
しかし、市販のドライフルーツの場合は、砂糖漬けにしたものがあります。
砂糖漬けは砂糖なしよりも賞味期限が長いので、よく販売されていますが、できることなら、そのまま干しただけの素朴な味わいがあるドライフルーツを楽しんで、砂糖漬けは避けたいです。
今回は食べやすいドライフルーツを選びました。
クコの実やキウイなど、様々なドライフルーツがありますが、同じものを食べ続けるのではなく、3種類で色違いのドライフルーツを選ぶことで様々な効果が期待できます。
レーズンの鉄分で貧血に気をつける
レーズンで注目する栄養はミネラル類のカリウムです。
細胞内外の水分量や浸透圧を調節するので、高血圧の予防にもいいですが、災害で避難所にいると体がぬくむことがあるので、ぬくみの解消になります。
鉄や食物繊維もほどよい量を含み、その他ビタミンやミネラルも含んでいいます。
貧血予防に働く鉄分はプルーンの約2.3倍もあります。
女性…特に妊婦さんや子供におすすめしたいドライフルーツです。
アンズを1日数個食べて「温活」
アンズのカリウムはレーズンの2倍もあり、βカロテンが群を抜いて多く含まれています。
アンズのβカロテンは生より乾燥されたモノの方が約4倍にもなります。
そして発ガンを抑制する作用の強いβ‐クリプトキサンチンも含み、有機酸(クエン酸・リンゴ酸)も多く含んでいるので、胃腸の働きを良くして殺菌作用などの効果に期待できます。
乾燥アンズは体を温める性質があるので、毎日少量食べることで「温活」になります。
ベリー類(クランベリー・ブルーベリー)は万能薬
クランベリーはとても酸味が強い果実なので、ジャム・ジュース・ソースなどに加工されていることが多いです。
そのクランベリーは、高い抗酸化力があるので、消毒・解毒・解熱剤・下痢止めなどの万能薬として食べていました。
ドライクランベリーの1日摂取量は20~30g(大さじ2~3杯)が目安とされていて、クランベリーに含まれているアントシアニンはポリフェノールの一種で、目の疲れを予防すると知られています。
目に良いと注目されているのは、ブルーベリーの方が多くの方がご存知かもしれません。
ブルーベリーの効果は目に良いだけではありません。
骨の健康維持に関わるマンガンや、抗酸化作用を持つポリフェノールも含まれているので、老化や病気の原因となる活性酸素の働きを抑えると言われています。
豆類類は植物性タンパク質で備えておきたい食材
肉や魚と同じようにタンパク源になります。
非常時に入手しにくい肉や魚の代替品になるので、是非備えておきたい乾物のひとつです。
『畑の肉』の大豆や小豆などの乾燥豆類
大豆や小豆は水で戻すのが大変と思われがちですが、長時間水に浸しておくことで、柔らかく煮えます。
大豆の他にも、様々な豆があります。
なかなかビフィズス菌を摂取できない環境で、その菌類を増殖させる作用のあるオリゴ糖が含まれ、抗酸化作用・コレステロールなど血中脂質の低下などが期待できる大豆サポニンの働きは欠かせません。
そして、小豆は医薬品として使われていたほどの薬効があり、薬膳でも多く使う食材です。
小豆はごぼうの3倍の食物繊維が含まれ、小豆の皮の赤い色は、身体を酸化させないポリフェノールが含まれています。
『畑の肉』と言われ、大地の恵みは避難生活が長期化する場合、たんぱく源の確保として重要な備えになると思います
高野豆腐はマルチサプリメントのような食材
常温で長持ちする高野豆腐は、日本の伝統食です
臭みをなくすために、一度水で戻して優しく絞ります。
大豆より消化がよく、どんな味付けにもなじみ、食感も栄養もお肉のかわりに利用できる乾物です。
高野豆腐中のタンパク質は、凝固・凍結・乾燥といった加工が加わることで、原料である大豆のタンパク質の1.5倍以上もレジスタントタンパクがアップします。
レジスタントタンパクは、様々な効果があり、生活習慣病や更年期障害の予防・妊婦に必要な栄養補給・子どもの成長期の栄養補給・高齢者の認知症の予防など、まるでマルチサプリメントのような食材です。
高野豆腐の和食だけでなく洋食や中華と、様々な料理に気軽に使えるので、備えは多めにしておきましょう。
ピーナッツの薄皮に含まれるポリフェノール
ピーナッツはナッツ類なんじゃないの?
ピーナッツはマメ科の豆で、地中になる植物なのでナッツではありません。
アメリカのハーバード大学で30年間の研究で「ピーナッツは血管を健康にして死亡率を飛躍的に下げる食材」と判明し、注目されている食品です。
栄養価はナッツ類で、オレイン酸・リノール酸の不飽和脂肪酸や、抗酸化作用のあるビタミンEが豊富に含まれています。
特に、ピーナッツの薄皮に含まれるポリフェノールの「レスベラトロール」を含んだ、健康食品や美容サプリメントとして多数の商品が販売されています。
抗ガン作用・美肌効果・アンチエイジングなどがあり、疲労した体に役立ってくれるので、被災時には一口サイズの栄養補給になります。
ナッツ類は良質な脂肪
ナッツといえば、お酒のつまみというイメージが強いかもしれませんが、おつまみとしてだけではもったいないほど、栄養がたっぷり含まれています。
脂肪分は多く含まれていますが、その脂肪は生活習慣病の予防にも良いとされる不飽和脂肪酸で、適度に摂取することで美容にも健康にもよい効果が期待できます。
アーモンドを1日数粒食べましょう!
食塩無添加の素焼きアーモンドは、食物繊維やビタミンEなどの栄養素が摂取できます。
血液をサラサラにするオレイン酸が豊富な上、食物繊維はキャベツの約5倍、ビタミンEもかぼちゃの約5倍の含有量があります。
驚くほど栄養価が高いのです。
アーモンドに限らず、ナッツ類の脂肪分は、適度に摂取することで生活習慣病の予防につながる不飽和脂肪酸です。
最近は、ナッツ類とドライフルーツがアソートになって小袋で売られています。
もしもの災害は、いつ起こるかわかりません。
出先で被災する可能性も想定し、バッグに小袋を入れておくと、小腹が減った時に便利です。

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