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首都直下型地震や南海トラフ地震の被害は?
政府の地震調査委員会が、南海トラフの巨大地震が今後30年以内に起きる確率を、70%から80%に引き上げました。
国の被害想定では、津波と建物の倒壊や火災などで全国の死亡者を32万3,000人から、東日本大震災などの影響によって、ビルや家屋の耐震の改善が行われ、29万人と変更されました。
29万人の死亡者・最大950万人の避難者。
想像もつかないほどの状況です。
そして、その状況が大きければ大きいほど長期化します。
あなたの身のまわりのエレベーターは地震対策できてますか?
首都直下型地震や南海トラフ地震といった大規模災害は、いつ襲ってきてもおかしくありません。
大都市は、多くのタワマンや高層ビルが立ち並び、たくさんの人が集まって住宅も密集しています。
こうした建物は、倒壊を防ぐ設計になっているものもありますが、防災対策が手付かずの古いビルやマンションもあります。
平成21年度にエレベーターには「地震時管制運転装置」の導入が義務付けられています。
地震時管制運転装置が備わっているエレベーターでしたら、押した階の予約はキャンセルされ、最寄りの階で自動停止する設計になっています。
しかし、未導入の機体もいまだに多いですし、分譲マンションの場合、住民の多数の地震時管制運転装置の導入賛成を得られなければならず、そのまま放置されている場合もあるという報告もあります。
様々な理由によって、エレベーターが停止した場合の対策が十分に行われていません。
オフィスや自宅マンションなど、日常で使用しているエレベーターの地震対策できてますか?
「地震時管制運転装置」が設置されているかどうか…確認しておきましょう。
エレベーターの中で大地震!その時どうなる?
首都圏直下型地震が起こった場合、最大1万7000人がエレベーターの中に閉じ込められる…という日本エレベーター協会の調査で最悪の状況が想定されています。
国土交通省によると、2018年6月18日の「大阪北部地震」最大震度6弱…大都市だっただけに6万6000基ものエレベーターが緊急停止し、エレベーターに閉じ込められたのが339件ありました。
2018年9月6日の「北海道胆振東部地震」(最大震度7)では、9000基のエレベーターが緊急停止しています。
政府は、南海トラフ巨大地震で最大約4万1900基の閉じ込められ被害を想定しているのですが、救出まで数日…巨大地震で津波によって道が閉鎖していたり、ビルの倒壊など最悪のケースを想定すると1か月前後かかる計算になります。
飲食もない、トイレもないエレベーターの密室。
時間帯によっては、座ることもできない密集状態。
どうやって数日を過ごしていくのでしょう。
国民のひとりひとりが脱出する方法を得てることで、命を守ることができる…知識が唯一の防災となっています。
首都直下地震の場合のエレベーター閉じ込め想定件数
<首都直下地震の被害想定と対策について :中央防災会議 首都直下地震対策検討ワーキンググループ >
「大阪北部地震」では、高さ60m以上・20階建て以上のタワマン(タワーマンション)では、電気も水道というライフラインが断たれてしまい、備蓄の用意が不十分だったために、食料や水の重い荷物を階段を上り下りして買い物をしたというケースがあります。
この例によって、高層マンションやビルの震災によるエレベーターの停止・閉じ込めによる深刻な被害が浮き彫りになり、その対策や解消策に追われている状況です。
一度エレベーターに閉じ込められて孤立状態になってしまうと、自衛隊や消防・警察の助けが来るまでに数日、ライフラインがストップした上、地震によって建物自体が危険であること、道が閉ざされ駆けつけられない状況になった場合、1か月かかることもありえると…。
大規模な災害の時には、地域の消防・警察・エレベーター保守会社も被災者になる可能性が高いため、利用するひとりひとりが、ビルやマンションのエレベーターの安全な取り扱いを把握し、できることなら訓練をしておくのが最良の方法です。
消防の機動力にも限界があるのです。
オフィスでのビル内の人々、マンション居住者同士が協力し合って、自分たちで救出しなければならない事態も考えておく必要があるのです。
普段使用しているエレベーターの確認と脱出方法を知っておく
普段使用しているエレベーターは、地震時に、どのようなシステムになっているか?
出先でエレベーターに乗るとき、脱出ができるエレベーターなのか?
大切なことは“命”を守ることです。
そして、その後の生活にどのような支障をきたすのか?と準備をすることです。
エレベーターの現状と脱出方法
全国に73万台余りのエレベーターがありますが、自動停止機能が備えられていないものの件数は把握されていないとのことです。
まずは、エレベーター安全装置設置済みのマークの確認は最低限しておいて、普段使用しているエレベーターの安全度を把握しましょう。
地震の規模が大きくなると「地震時管制運転装置」とは別の安全装置が働くことがあり、エレベーターが緊急停止し閉じ込められることもあります。
スマホや携帯電話などに、地震緊急速報のアプリ設定はされていますか?
事前の対応が後を左右しますので、「地震緊急速報」を設定して、少しでも早く情報を得られるようにしましょう。
エレベーター内で地震緊急速報が鳴ったら、進行方向の階の停止ボタンをすべて手動で押し、止まった階ですぐに降りてください。
地震緊急が鳴ると同時、若しくは地震か起きて揺れを感じた時も、進行方向の階の停止ボタンをすべて押して止まった階で降ります。
万が一、閉じ込められた場合は、非常通報ボタンを押して管理する外部と連絡を取りましょう。
非常通報ボタンは停電時にもつながるようになっています。
災害後外部との連絡を取る前に無理に扉をこじ開けようとせず、指示に従って行動することが安全策です。
しかし大災害の場合、管理している外部者が被災にあっていることも考えられます。
そして、停電でエレベータがとまってしまうと、もう操作はできなくなります。
映画やマンガでは、天井を開けて脱出!なんていう場面がありますが、それはドラマでの話です。
多くのエレベーターの天井の救出口は、外からは開いていも中からは開けられません。
大地震でエレベーターに閉じ込められてしまうと、中から自力で脱出することはとても難しくなるのです。
非常通報ボタンを押しても管理会社と連絡が取れない場合、携帯電話で連絡する手段もあります。
ビル名やエレベーターの場所などの情報を正確に伝える必要があり、より時間がかかってしまう場合もあります。
エレベーターの外部にいる人に知らせたいために声を出し叫ぶと余計な体力を使うので、知らせるために金属音や携帯防犯ベルなどを鳴らしましょう。
最終的には、エレベーター付近にいるであろう知り合いの方に、携帯電話で閉じ込められていることを知らせる方法になります。
そして、扉を開ける救出を始める前に、たとえ停電になっていても必ず主電源を切ってください。
救出中にエレベーターが動かないようにしておかないと、とても危険です。
電源を切ったあとは、専用の道具を使って扉を開けるのですが、その場所を知らない人がほとんどなのではないでしょうか。
専用の道具の保管場所を、ふだんから確認しておくことが大切です。
そして、扉を外からカギを使っても開けることもできます。
それらの使い方など、エレベーターの安全な取り扱いは、管理会社の方との訓練と練習することをおすすめします。
脱出方法は、緊急地震速報の音と共に、急いで進行方向の階の停止ボタンをすべて押して、冷静…かつ迅速に行動することです。
そして、停止してしまったエレベーターからの脱出方法は、外部との連絡を取って指示に従い、各マンションやビルの管理者や住民が協力し合うことが命を救う方法です。
何よりも、エレベーターの安全な取り扱いを事前に学び知識を得ておくことです。
「高層難民」首都直下・南海トラフ大地震の防災
都会の住宅の居住形態は、マンション生活が圧倒的に多くなってきています。
エレベーターという密室空間で、長時間閉じ込めたれてしまう精神的な苦痛は計り知れません。
今まで経験がないような巨大地震の場合、マンションでのエレベーターの停止・閉じ込め問題一つを取り上げただけでも、大変な事態が想定されます。
いつ起こるかわからない地震から命を守るには、日頃の防災意識と、普段の備えが必要です。
大規模な停電・断水などに見舞われた時、高層であればあるほど水や食料の供給が困難になります。
マンションでのライフラインが途切れたから避難所に…と思っても、収容人数に限界があるので、自宅が倒壊したり火災で失った人が優先され、受け入れてもらえない可能性が高いのです。

- スマホや携帯電話の「地震緊急速報」が鳴ったら、進行方向の階の停止ボタンをすべて手動で押し、止まった階ですぐに降りる。
- 「地震時管制運転装置」が作動した場合、止まった階で降りる。
- 扉が開かず閉じ込められた場合、非常通報ボタンを押して管理する外部と連絡を取り、指示通りに行動する。
- 扉が開かず閉じ込められ、非常通報ボタンを押しても管理する外部と連絡が取れない場合、外部に居る人に気づいてもらえるように、“音”を出し、救助を求める。外部の人がエレベーターの主電源を切り、専用の道具や鍵を使って扉を開けてもらい脱出する。
エレベーターが停止し高層階で孤立してしまう「高層難民」になる可能性が高い方は、被災しても自力で1週間以上は過ごせるように、食料の備蓄をしておくことが必要です。
高層ビル内で高い場所にいるとき首都直下型地震が起きたら…4mの大きな横揺れになる可能性があるとか…。
4mの横揺れ…って、想像もつきません。
防災として、家具固定と食料・生活用品の備蓄…何よりも自己危機管理の意識を持つことが大切です。
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